「お前は俺か」~ピース又吉(又吉直樹)の自由律俳句の魅力~

執筆者:凡夫

お笑い芸人であり、芥川賞作家であるという異例の肩書を持っているピース又吉。受賞作の「火花」は累計230万部を超える大ヒット作品になっています。

こうした小説家としての顔以外に、随筆家、脚本家としての顔も併せ持つ、マルチな文筆作家と言えます。
最近ではテレビ出演においてもお笑い作家というより、文化人的な立ち位置になることも多くなっています。

そんな又吉直樹のもう一つの顔が自由律俳人です。
コラムニストのせきしろとの共著で2冊の自由律俳句の著書を出版しています。

カキフライが無いなら来なかった (幻冬舎文庫)

まさかジープで来るとは (幻冬舎文庫)


この2冊が実に面白い!

その場の現象が短い自由な文章の中に鋭い感覚で昇華されています。

こうした自由律俳句に対して、自由律俳句を長年詠んできた人の中には「まだまだ…」なんて意見を述べる方もいるようですが、それは間違い。

現代的で非常に情感を漂わせる作品となっています。

この俳句を詠んだ人の多くが「お前は俺か?」と感じるのではないでしょうか?

それほど、現代に生きる人が感じる感性にピッタリなものが多いのです。

多様化している現代の人々の感性ですが、「お前は俺か?」と感じさせる感性の共通性があることは注目されて良いと思います。

有名人、タレント本の一種としての評価するのではなく、今後の自由律俳句復興の大きなヒントが隠されている作品のように感じます。