さて、鳥取城の堀の内側にある旧鳥取一中を出発した放哉の小径は南へと山沿いの道を進んでいきます。なんとなく東側に歩いているイメージがありますが、実際上は南に向かってます。
このあたりは神社仏閣や山の手の閑静な住宅街がつづく落ち着いた街並みが特長のエリアです。
次に目指すべきスポットは興禅寺になります。
●興禅寺
放哉の小径から少し外れて山側に歩いていくと左側に興禅寺があります。
興禅寺は黄檗宗のお寺で鳥取藩主池田家の菩提寺としても知られています。
写真左の本堂は国の登録有形文化財にに指定されてます。
写真の奥側の山のほうには古い墓地があり、伊賀越えの仇討ちとして知られる鍵屋の辻の決闘で見事に弟の仇を討った渡辺数馬の墓などがあります。
他にも、武人として知られた猪多伊折佐、臼井本覚の墓地もここにあります。
この興禅寺には尾崎家の墓があります。
放哉の父親である尾崎信三が建てた墓で、「先祖累世之墓」と刻まれています。
ここに尾崎放哉の遺骨の一部が収められています。
また、境内には昭和5年という古い時期の尾崎放哉の句碑があります。
これは放哉5周年忌の前の日に除幕式が行われた古い時期の句碑です。
刻まれている句は辞世の句と言われる「はるの山のうしろからけむりが出だした」です。
鳥取にある尾崎放哉ゆかりの地を巡る旅では欠かせない場所と言えます。
●完龍院と他の寺院
興禅寺を出て、さらに放哉の小径を南へと進んでいくと、道沿いにたくさんの寺院が見られます。
■大隣寺
放哉の小径を歩いていると左側に臨済宗妙心寺派に属する大隣寺の階段が見えます。
■本慈院と芳心寺
大隣寺の先に本慈院と芳心寺が並んでいます。
芳心寺は日蓮宗に属する寺で、本慈院はその塔頭です。
■完龍院
芳心寺の横にあるのが完龍院で、こちらも芳心寺の塔頭です。ここは、尾崎家の元菩提寺だったところなので、ゆかりの地と言えます。
●樗谿公園(おうちだにこうえん)と梅鯉庵(ばいりあん)
完龍院から少し歩くと左側に素敵な感じの公園が見えてきます。
それが下の写真の樗谿公園です。
そろそろ歩き疲れたころだと思うので、公園内で一服しましょう。
ここから先はだんだんと街に入っていくため、休憩できる場所があまりないので、ここでのんびり一休みするのがおすすめです。
写真の中で右側に見える建物が梅鯉庵です。
梅鯉庵の庭園は県内でも梅の名所として知られているスポット。
営業時間は9時から17時で、休憩料金は大人50円、中学生以下と高齢者20円、障がい者は無料となっています。
月曜日と祝日の翌日は休みなので注意しましょう。
樗谿公園内は散策にも最適です。園内を流れる樗谿川は蛍の名所としても有名です。
●鳥取市歴史博物館やまびこ館と鳥取東照宮
樗谿公園をさらに奥へと進んでいくと右側に鳥取市歴史博物館やまびこ館が見えてきます。
わかりやすい展示をしているので、鳥取の歴史を知るためには便利なスポットです。
ここからさらに奥に行くと鳥取東照宮(樗谿神社)があります。
鳥取東照宮には17世紀半ばに作られた本殿、唐門、拝殿および幣殿があり、これらは国の重要文化財に指定されています。
樗谿公園で一休みしたら、放哉の小径紀行ー後編に続きます。
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